この記事をニューヨーク ブルックリンのホテルで書きました。
世界一の大国アメリカが変化している。
トランプ大統領の就任以来、アメリカ国内はもとより、全世界がその影響を受け、困惑し、対応に苦慮している。
何が起こるかわからない。不確定・不透明と言われる今、ニューヨークで感じた事をお伝えします。
1.不透明の最大の原因は、アメリカンドリームの喪失。大国をまとめ上げた価値観の変化。
多種多様な民族が集まったアメリカ。人種のるつぼと言われたこの国を大きくまとめ、牽引していたのは、アメリカンドリーム。
誰でも、努力し勤勉に働けば均等にチャンスがあり、経済的・物質的に裕福になれるチャンスがある。この大きな価値観が、様々な人種の集まるアメリカを一つの方向性に導き、成長する原動力となっていたはずでした。
ですが、長きに渡る経済停滞、ごく一部の富裕層に富が集約し、大多数が経済的な貧しさから脱却できない。
そこから生まれた“アメリカンドリームの喪失”
今までの価値観では、未来を描けない人たちの閉塞感・空気感を強く感じることができました。
そこから、新たな価値観の誕生へ。
その価値観は、“自分らしく生きる、働く、大事だと思うことを実現する”
富や物質的な幸福ではなく、自分なりの価値観を持ち、それを実現していく。
今や、ニューヨークの新たな顔となったブルックリンを見れば、その流れを強く感じます。
経済的成功の象徴であるマンハッタンを横目で見つつ、自分らしく生きていく人達が集まり、自分のか価値観を表現し、自分なりの成功を目指していく。
そこに共感する人がさらに集まっていく。
日本よりも、多くの民族が集まり、様々な主義主張がひしめくアメリカだからこそ、価値観の多様性に多くの人が戸惑い、様々な分裂が生じ、混乱と困惑の度合いを高めているのでしょう。
トランプ大統領は経済的成功がクローズアップされがちですが、実は支持者の多くは、政策云々よりもトランプ大統領のように自らの価値観を表現し、具体化して生きるスタイルに憧れ、支持へと繋がっている。
そう考えれば、破天荒な大統領が誕生した原因の一旦を考えることができます。
2.企業も着実に変わっている。変化できない企業やブランドは淘汰されている。
マンハッタン、五番街、ブルックリン、ソーホーなど様々な商業集積エリアを視察してきましたが、明らかに支持されているブランドとそうではないブランドに分かれています。
成功している、支持されているブランドの特徴を大きく4つに分類しています。
(1)自分たちの価値観・スタイルを明確に主張しているブランド
自分たちのスタイルを明確にしている。ラルフローレンなどが該当します。
時流や流行に乗るのではなく、自分らしさを強く持ち、生活のスタイルとして発信しているブランドです。
今回、多くの業種がセレクトショップ化する現象をみました。
アパレルと食の融合、調剤薬局と美容品とカフェの融合、食品ブランドの多くは店内にフラワースペースを設けています。ブルックリンにある店舗の多くはセレクトショップです。
自社商品だけではなく、価値観やスタイル全体を表現している。
消費者は、ブランドが発信する価値観に共鳴し、支持しています。
(2)ライフスタイルの一部を、深く掘り下げるブランド
今回、健康志向をより深めるをテーマとした素材特化型食品店等を視察。
自社の強い素材商品を軸として、健康という視点で、新たな価値観へ対応しているブランドショップです。朝食・昼食・スイーツ、あらゆる場面に対応した商品の提供で強い集客力を持っています。ライフスタイルの一部を徹底的に深掘りし、訴求し、新たな提案をしている店舗は、競合店と比較しても、明らかに集客に違いがあります。
ホールフーズマーケットなど、すでにオーガニックを強化したブランドが先行していましたが、ここにきて深掘りの度合いがより強くなっていることを感じます。
健康はあくまでも一つの入り口ですが、あらゆる価値観の中で、一つの価値観に特化し、深掘りし、ファンを生み出している。
これは、日本の多くの素材特化型ブランドが学ぶべき点になるでしょう。
(3)カスタマイズ、オリジナル化サービスと場を提供し、顧客の価値表現をサポートするブランド
アメリカ発祥のスニーカーブランド“コンバース”のフラッグシップストアがソーホーにあります。
その店舗でみたのは、オリジナルスニーカーを作るワークショップスペース。自分だけのスニーカーが作れるゾーンです。ファブリックはもちろん、デザインやアクセント、細かな部分まで自分で決めることができます。そのほかにも、自分流のリペアができるブルックリンデニムや、オリジナルジーンズを作ることができる3×1など、今注目を浴びているブランドが、より大きな形でカスタマイズサービスを導入しています。
どれも一般製品から見れば、3倍から5倍以上の価格。それでも買い求める人がいる事実を踏まえておく必要があります。
また、ハドソン・イーツ、ザ・プラザ・フードホールなど、新たな進化を始めたフードコートの繁盛ぶりも同様の流れ。
自分で選ぶ。自分なりに楽しむ。自分流を作る。
消費者のそれらをサポートするサービスや場の提供がキーワードです。
(4)圧倒的な価格の安さと、多様な品揃えで、価値観の表現をサポートする。
五番街やタイムズスクエアを歩いて感じたこと。ハイブランドと並んで、ユニクロやH&M、ZARA、GAPなどのファストファッションブランドがメイン通りに大きく出店している事実。
消費者は、価格の安さ、アイテムの多様さの中から、自分らしいファッションを組み合わせとして表現するために活用しているように見えます。
これら、新たな価値観に対し、変化を続けているブランド。
逆にそうではないブランド。
同じストリート・エリアに出店していても、その差は歴然でした。
4.ローカルからグローバルに発信!新たな価値観が生まれている今、消費者を集わせる一つの大きな流れはローカル・地域・地元のために。
今回の視察で、一つ強く感じたのは、
“Made in USA”
から
“Made in NYC”
“Made in Brooklyn”
への変化。
特にブルックリンは顕著に観て、感じることができます。
地元・地域に対する愛情。ローカルから世界へ発信することに誇りを持ってビジネスをしています。
地域と連携し、世界に進出を始めたブルックリンデニム
地元食材を活かし、毎日メニューが変わるレストラン、マーロウ&サンズ
ブルックリンでビール造りを行うブルックリンブルワリー。
そのほかにも、ワイナリーや鞄メーカー、ホテル、アイスクリームショップなど、地域とつながる新たな価値観は強い求心力となり、地域や、そこで働く人たちの強い力を生みだしていると実感しました。
ローカルから、グローバルに発信する。
これから地方ある企業やブランドにとって、力強い流れになっていきますね。
トランプ新大統領になってから、初めてのアメリカ。
やはり、自分の目で観て、感じて、気づくことが多くありました。
実際にそこに立ってみなければわからない事が多く。
ネットやテレビ、マスコミ情報だけに頼っては判断を誤る可能性もあります。
一次情報はやっぱり大事。
各店舗の情報や、クライアント先への新たな提案も生まれ。
ぜひ、お声がけください。
色々とお伝えしたい事がたくさんあります。



























